- 2009年4月 9日 11:40
- 治療
■水嶋ヒロさん「絢香の病気を含めて守ってやりたい。」
「実は絢香(あやか)はずっと持病を抱えておりまして、ぼくはそれ(病気)を含めて守ってやりたい」。3日に行われた、シンガーソングライターの絢香さん(21)との結婚会見で、俳優の水嶋ヒロさん(24)から飛び出した言葉に、「えっ?」と驚いた人は多いのではないだろうか。絢香さんが公表した病名はバセドー病。きちんと治療すれば普通の生活は可能だが、病気と気づかずに放置していると、妊娠した女性であれば流産しやすかったり、胎児の成長に影響が出たりする恐れもあるので注意が必要だ。(平沢裕子)
≪圧倒的に多い女性≫
バセドー病は甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気。男女比は1対4で圧倒的に女性が多く、20、30代で発症するケースが多い。
甲状腺ホルモンは成長と代謝に関係し、過剰に分泌されると、疲れやすい、いらいらして落ち着きがない、甲状腺のある首の部分がはれる、集中力が低下する、眠れない、動悸(どうき)がする、手足が震えるなどの症状が表れる。絢香さんも会見で「1曲歌うと息切れや動悸がした」と話していた。
また、顔や目つきがきつくなることもあり、目が出てくる眼球突出は代表的な症状で3割程度にみられる。甲状腺疾患専門の伊藤病院(東京・神宮前)の吉村弘内科部長は「受診のきっかけで多いのは首のはれや激しい動悸。ただ、高齢者は甲状腺がはれにくく、発症に気づかないケースも多い」という。
≪甲状腺機能を正常に≫
発症は甲状腺を刺激する抗体(TSH受容体抗体)が原因と考えられているが、抗体ができる理由はよく分かっていない。
治療には、甲状腺ホルモンの合成を抑える薬の服用や、甲状腺の大部分を摘出する手術、放射線治療がある。治療で甲状腺機能を正常にすることで、普通の生活は可能だ。絢香さんは服薬で治療していたことを公表。服薬治療は外来でできることや、妊娠、授乳が可能なことが長所である半面、1年以上と治療期間が長いのが短所だ。
吉村部長によると、3年間、薬を服用した場合、10人に3、4人が薬がいらない「寛解(かんかい)」の状態となる。一方、3年服用しても寛解しない場合は、手術や放射線治療を考えてもいいという。
絢香さんは、治療のために年内いっぱいでの音楽活動の休止を宣言した。仕事を休まなければいけないほど大変な病気なのかと思った人も多いだろうが、「服薬で甲状腺機能をコントロールできれば、普通は仕事は可能で、病気が原因で会社を辞める人はほとんどいない。ただ、仕事がストレスになっている場合、仕事を辞めることで寛解するケースもある」と吉村部長。
≪珍しくない高齢者≫
治療をきちんとすれば妊娠、出産は可能だが、甲状腺機能のコントロールがうまくできていないと流産しやすいほか、胎児の成長にも影響する可能性があるので、妊娠中の女性は特に注意したい。
薬のなかった戦前は死亡することもある怖い病気だったが、今は治療法が確立している。ただ、治療せず放置していた人が糖尿病になったり、別の病気で手術をしたりしたときに起きる「甲状腺クリーゼ」では死亡することもある。
吉村部長は「若い時期の発症が多いとはいえ、高齢者の発症も珍しくない。気になる症状がある人は検査を受けてほしい」と呼びかけている。
【用語解説】バセドー病
バセドーはドイツ人医師の名前。日本の医学はドイツ医学の流れをくむことから、この病名で呼ぶが、英語圏ではバセドーより早く報告したアイルランドの医師にちなんでグレーブス病と呼ばれている。
バセドー氏病と「氏」をつけて呼ばれたこともあったが、西崎クリニック(東京)の西崎統院長は「40年前の教科書ではすでにバセドー病だった。氏をつけた呼び名は一般の書籍で見かけることはあったが、20年以上前からはほとんど見ていない」と話す。
男性の発症も珍しくなく、田中角栄元首相やジョージ・ブッシュ元米大統領も患者として知られる。
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